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芝居

人虎窟の世界 於菟さまの 「芝居」へのTBです。

   その芝居が、どのように構成され、どのような工夫がなされているのか、
   それを意識して見ています。

とお書きになったあたりを読みながら、夏目漱石を思いうかべました。芝居をご覧になりながら考えていらっしゃることが、なんとなく似ている気がします。

漱石が芝居を見に行った感想を手紙に書いた
 「虚子くんへ」(青空文庫)
あたりを読んでいただくと、それを感じていただけるかもしれません。
おそらく漱石も芝居を観ながら、文学について考えていたと思います。

その「虚子くんへ」の一部。

僕は芝居は分らないが小説は君よりも分っている。その僕が小説を読んで、第一に感ずるのは大体の筋すなわち構造である。筋なんかどうでも、局部に面白い所があれば構わないと云う気にはとてもなれない。したがって僕がいかほど芝居通になったところで、全然君と同じ観察点に立って、芝居を見得るかどうだか疑問であるが、その辺はどうだろう。(中略)
 生涯(しょうがい)の大勢は構わないその日その日を面白く暮して行けば好いという人があるように、芝居も大体の構造なんか眼中におく必要がない、局部局部を断片的に賞翫(しょうがん)すればよいという説――二宮君のような説ですが、まあその説に同意してみたらどんなものでしょう。
 それでも賞翫はできますが、それを賞翫するに、局部の内容を賞翫するのと、その内容を発現するために用うる役者の芸を賞翫するのと、ほとんど内容を離れた、内容の発現には比較的効能のない役者の芸を賞翫するのと三つあるようですね。

芝居の「構造」という部分に着目して引用しました。この手紙は、全体的に漱石の思考がうかがえておもしろいです。

それにしても、芝居を観ることはただそれだけでも楽しいですが、それに触発されて、関係ないようなことをいろいろ考えることがまた楽しかったりします。なにか芝居を観に行きたくなってきました。
by chinchudo | 2005-11-26 06:43 | ●日記
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