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伊勢物語 八十四段

むかし、をとこありけり。身はいやしながら、母なむ宮なりける。その母、長岡といふ所に住みたまひけり。子は京に宮仕へしければ、まうづとしけれど、しばしばえまうでず。ひとつ子にさへありければ、いとかなしうしたまひけり。さるに、十二月(しはす)ばかりに、とみのこととて御文(おんふみ)あり。おどろきて見れば、歌あり。

  老いぬれば さらぬ別れの ありといへば いよいよ見まく ほしき君かな

かの子、いたううち泣きてよめる。

  世の中に さらぬ別れの なくもがな 千代もといのる 人の子のため
by chinchudo | 2008-02-16 18:40
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