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『わかったつもり』

「わかる」とは何だろうか、また、どのようにしてわかることができるのか、というのが、私の関心事のひとつです。これに関連しておもしろく読んだのが、西林克彦氏の 『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』 です。小学校の教科書などから例文をいくつもあげて、その読解を具体的に考えながら進んでゆくので、読みやすい本です。この本を読んで、文章を読む過程に、どのような要素が働いていているのかを、整理することができました。

西林氏は『わかったつもり』のなかで、文章理解の度合いについて、「わからない」「わかる」「よりわかる」という三段階の提示をしています。「わからない」とは、その文章に何が書いてあるのか理解できない状態です。「わかる」は、その文章に何が書いてあるか一応わかった状態です。この状態を著者は「わかったつもり」といい、「読む」行為の障害であると考えます。そして「よりわかる」状態を目指そうというのです。

「第4章 さまざまな『わかったつもり』 」では、「わかったつもり」を誘発する条件を考察しています。これには大きく分けて二つあります。文章自体の構成によるものと、読み手のスキーマによるものです。
この章なかで重要と思われる指摘は

  部分の読みが不充分だったり間違ったりしているので、
  間違った「わかったつもり」が成立する

というところです。つまり、私たちが文章を読む場合に、全体として何を言わんとしているかだけが印象に残り、部分部分に何が書いてあるのかを読み過ごすことが多々あるということです。

「第5章 『わかったつもり』の壊し方」では、前章を受けて、「よりわかる」状態へたどり着くための対策を考えています。
by chinchudo | 2006-03-11 22:02 | ●書籍紹介
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